AIと記念写真の未来｜写真館やフォトスタジオはなくなる？

普段はお宮参りや七五三などで子供を撮ったり婚礼やイベントの撮影など幅広く活動しております。

というわけで今回はAIと写真館の将来について。

国立高専専攻科ではニューラルネットワークや階層化意思決定法などのAIに関する研究をして論文も発表しています。卒業してからはロボット開発やSEの経験もある現役プロカメラマンというレアキャラの私が未来予想ということで雑談的にご紹介していきます。

最新AIで何ができるのか

顔認識などのAIで写真を探す

これは知らず知らずのうちに利用している人も多いと思います。

スマホでGoogleフォトなどの写真アプリを使っている人は突然通知がきて過去の写真をまとめたスライドショーをみせられたという経験はないですか？

これはAIがちゃんと顔認識で同じ人を識別してるんですよね。

うちの場合は山のように娘の写真が保存されているのですが赤ちゃんの頃と最近の写真がちゃんと同一人物として認識されててびっくりしました。

結構顔は変わってると思うんですが不思議です。

あとは学校写真のスナップ写真販売でも顔認識AIが使われており、たくさんの写真の中から我が子だけを抽出して見せてもらえます。

ぱっと見では見落としてしまうような写真でもちゃんとAIは認識していてこれまたびっくり。

顔が半分隠れていたり、横を向いていたりしても認識していて以前よりかなり精度が上がってきているなと思います。

白黒写真に色を付ける

白黒写真には色に関する情報は全く残っていません。

もしかしたら白黒写真をカラー化したという写真や動画を見かけたことがあるかもしれませんがそれらは全部本当の色を復元したというよりは本当の色を予想して色付けしたといった方が正しいです。

私もお仕事で白黒写真のカラー化をしてますがまずはAIを使って色付けを試みています。

ただAIによるカラー化はまだ精度があまりよくなく、空や木などの自然物は割と上手に色付けするものの人工物については全然でたらめな色になることも少なくありません。

結局はほとんどマニュアルで色付け作業をしているのが現状です。

写っていない部分を生成AIで補完する

これはAIならではの新技術です。

写真のフレームの外側を創り出すことができます。

1枚目が元の写真で2枚目が写真の外側をAIで生成したもの。

コーヒーメーカーの形がヤバいことになってますね笑

しかしその他の部分はありえそうな感じに仕上がっています。

光の当たり方などもカメラマンから見ても矛盾がない仕上がりになっていることが多いです。これもかなり自然に見えます。

これはちょっと極端な例ですが初めて見た方はびっくりされたと思います。

かなり広げましたがぱっと見ではAIで創り出されたようには見えないですよね。

ここまでやると捏造ともいえますので使うとしてもほどほどがよさそうです。

ちなみに背景に写りこんだ人もこのようにきれいに消すことができます。

以前から背景の人や不要物は消していましたがAIを使うことで飛躍的に作業が早くなりました。

ノイズを除去する

ノイズ除去については以前からPhotoshopの機能としても存在していましたが、AIを使うことでワンランク上の自然なノイズ除去ができるようになりました。

除去と同時に画像をシャープにすることもできます。

ブレたりボケたりしてしまった写真をシャープにする

画像を単にシャープにする機能はずいぶん前から存在しますがAIによるシャープはこれまでのものよりも数段優れています。

ぼやけたものをただ単にキュッとシャープにしようとしても限界があるのですが、数多くの画像データを学習しているAIならば元の質感をよみがえらせることも可能になります。

そして何より人物の顔の再現性はほんとにすごくて、ぼやけて写っていない眉毛やまつ毛が復活したりと、普通のシャープ処理ではありえないことが可能になっていて感動です。

この写真で言うと髪の毛の1本1本が再現されていたり唇のしわなどもリアルに再現されています。

ノイズもAIで消しています。

何もないところから写真を創り出す

元々の写真をどうにかする技術だけでなく、何もないところから写真を創り出すことすらできます。

この技術はもうかなり有名ですのでテレビやネットで見たことあるという人も多いかもしれませんね。

文章を入力するだけで画像を創ってくれます。

これは当ブログ「リテラシ島」にたまに登場するリテラビです。

実はリテラシ島に投稿されている写真のほとんどが生成AIによるものです。

写真でもこのクオリティが出せます。

「オフィス街でウサギを抱っこして亀に乗って通勤するサラリーマンの男性」

という文章を入力して出来上がった写真です。

楽しそうですね笑

「空中を飛びながら着物を着て記念写真を撮る家族」

姉妹の着物の柄が何気にお揃いなのが可愛い。

よく見れば着物の合わせが逆になっていたりと粗はありますがあと1年もすればさらに進化していることでしょう。

このようにAIを使えばあり得ないシチュエーションの写真も簡単に創り出すことができます。

最近の画像生成AIで作られた画像はかなり仕上がりが自然になっていて本物としか思えないクオリティのものがどんどんSNSに上げられています。

ちょっとこわいですね。

デマや詐欺も増えつつあるのでご注意ください。

写真館や記念写真はどうなる？

AIではもう何でもできてしまうことがお分かりいただけたことと思います。

ということは行ったこともない場所で撮った写真を作ることやその時なかったものをつけ足したり、逆に消し去ることもできますよね。

となるとスタジオに行ってわざわざどこか外国の貴族の家みたいなセットで撮ったり、にせもののアンティーク家具やドライフラワーに囲まれて撮らなくても何もない部屋で撮影した写真に合成してしまえばいいですよね。

今や衣装だってAIで変えることができてしまいます。

ということは普段着で撮影してあとからAIで好きな衣装に変えることも可能。

しかしそんな写真にはあまり意味がないように思います。

以前合成で背景をハワイやヨーロッパにするフォトウエディングの写真サンプルを見たことがあります。

それが上手に合成できていればいるほど虚しいとは思いませんか？

誰かに見せたら「ハワイ行ったの？」って聞かれて

「いや、これ合成なんだよね」

ってなかなか言えませんよ。

写真は思い出を残すためのものです。

思い出を捏造しても何の意味もありません。

ただ、合成やAIの生成が必ずしも悪いというわけではありません。

例えば先ほどのハワイの合成写真の例でいうと本当はハワイで挙式を挙げるはずが諸事情で今後行くことができなくなってしまったという事情があるとすれば、写真だけでも残せてよかったねという思い出になり、それはそれで価値のある写真になるでしょう。

本人の意思や気持ちや思いが大事だということです。

私の経営する有馬写真館にはユメノウツシエというプランがあります。

これは子供が頭の中で思い描いている世界を写真で再現してあげるというもの。

先ほどのピンクのドレスの写真もその一つ。オーロラ姫になりたい当時の娘の願いを聞いて制作したものです。今でも壁に飾ってあります。

子供はおもちゃで遊ぶとき頭の中で想像を膨らませながら遊んでいます。

その頭の中の世界を本人から聞き取りして作ることで子供は大喜びですし、思い出のおもちゃが写真という作品でずっと残せるので最高の記念写真になります。

もちろん合成の際には撮影技術だけでなくAIも活用しています。

ということで記念写真においては思い出が大切ですので、AIがいくら発達しても写真館やフォトスタジオがなくなることはないということがお分かりいただけたと思います。

「わざわざ写真館に行って記念写真を撮った」ということ自体が思い出ですし、子供のころ自分が愛されていたという証拠となる宝物になるでしょう。

これはこれから先もずっと変わらないと信じています。

あ、ちなみにスタジオで撮ってないのに撮ったようにAIで偽造したりするのは倫理的に良くないので、よほど特別な事情や思いがない限りはやるべきではないですね。

まとめ

ではここで軽くおさらい！

写真に関するAIについてはだいたいのことがお分かりいただけたと思います。

詳しいことはネットでいろいろと検索して調べてみてくださいね。

スマホのアプリで気軽に使うことができるものも増えてますがその使用については注意が必要です。

メリットばかりではありませんので用心して使用してください。

SNSに出ている画像でも顔を違う人にすげ替えてあることもあったりしますし、私たちはすでにAIの影響を受けて生きています。

そしてくれぐれもデマにだまされたりしないようにお気をつけて！

AIの登場でこの世界がどう変わっていくのか。

面白そうなのでリテラシ島ではシリーズ化してたまに記事にしていく予定です。

リテラシ島ではこのように初心者の方がたに向けていろんなためになる記事を掲載しています。

ぜひ他の記事も読んでネットに慣れてくださいね。

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